ゲイジュツ茶飯vol.1:『スターターピストル!!』~印象に残った方たち~ 『スターターピストル』で、特に印象残った方たちについて書かせて頂きます。 浅沼真夏果さんのトレープレフの台詞を絵を書きながらしゃべり、尚且つ動く。トレープレフの台詞自体、チェーホフの戯曲の翻訳、しかも、どちらかと言えば今の翻訳というより、昔の翻訳よりの訳なので難しい言い回しの台詞を動きや表情も含めて滑らかに自然にしてらしたのが、凄くて強く印象に残りました。しかも、この舞台が初舞台だと言う。 初舞台とは思えない自然さ。トレープレフと井料明里さん演じる、友達の下積みの女優の練習相手としての感情もきちんと表現されていた。ニーナを想うトレープレフと女優の友達としての感情は何処か重なり繋がっているような気がした。友情と言うだけではなくそこに...2017.08.31 08:52観劇記
ゲイジュツ茶飯vol.1:『スターターピストル』 今回、『スターターピストル』のブログをいつものような形で書こうとすると難しく、どう書こうか考えあぐねた。 それは、4本のオムニバスの芝居にはタイトルがなく、役名もあるようで無いような、劇中呼び合う場面はあるものの、芝居の中で呼び合う頻度が少なく、『かもめ』や『人形の家』の場面が盛り込まれている為、それぞれの戯曲の登場人物の名で呼び合う頻度が多く、話の世界に集中して聞き逃すと、はて何だっけとなってしまったからである。 故に、『スターターピストル』の感想を、いつも通りに順を追って書こうとすると、それぞれが少しずつお互いに関わり、お互いに干渉する(ここでは二つ以上の波が重なって互いに影響しあう現象の意味の干渉するとして使っています)ので...2017.08.30 10:45観劇記
ゲイジュツ茶飯vol.1:『スターターピストル』~序~ 先週の土曜日、朝一番で美容室に行った足で、新中野のワニズホールに、劇団おぼんろのさひがし ジュンペイさんのプロデュースのゲイジュツ茶飯の立ち上げ公演『スターターピストル』を観に行って参りました。 チェーホフの戯曲『かもめ』とイプセンの銀の『人形の家』を下敷きに、さひがし ジュンペイさんが作・演出、プロデュースしたゲイジュツ茶飯の第一回目の公演、『スターターピストル』は、女性8人のみで描く4篇の物語から紡がれる。 4篇とは言ったけれど、その内の2篇は、主人公の名前と年齢、女子高生と老人ホームに住む老女という違いのみで、台詞も基本的な話の内容もほぼ同一なので、細かく言うなら3篇の物語からなる舞台。 このタイトルの意味するものは何だろう...2017.08.28 07:43観劇記
詩:『願(ねがい)』『願(ねがい)』 この空に 翼ひろげ あなたの上に 堕ちて行きたい 後ろ指刺されても 何処に行く宛がなくても あなたとふたり 身を寄せ合う 庵があれば それでいい あなたしか 求めない 他の全てを 差し出しても 構わない だから 私が あなたの上に 堕ちて行ったら 両手を広げて 受け止めて それが 私が望む 全てだから詩:麻美 雪2017.08.25 08:01詩
詩:『あなたのことは』 『あなたのことは』 手を伸ばしても 遠い あなたと私の 距離 男と女が 解り合える筈もない きっとあなたは そう言うわ 求めることが 間違いと あなたはきっと 笑うでしょう だからもう 求めない 期待しない 追いかけない あなたのことは詩:麻美 雪 2017.08.23 05:26
Photo小説:『黒い花は私』 夢に咲いた黒い花。 噎せ返るような、麝香に何処かで嗅いだ煙草のが混ざり合い、懐かしいあなたのシャツの匂いに変わる。 夢に咲いた黒い花は、紫の雫を透明な水面(みなも)に落す。 凪いだ海に触れた瞬間、雫は滴る血のような真紅に変わり、海を染める。 夢に咲いた黒い花は、私。 眩暈がする灼熱の太陽が照りつけたあの夏の日、あなたが目の前に投げ出した言葉の礫が私を壊し、私から色彩(いろ)を奪った。 影が私の主体になって、虚ろな體を意識もなく動かして辛うじて生きていた私。 真っ紅に染まった景色に抱きしめられて、私の體も紅く染まって、色彩(いろ)を持つ。 真紅の痛みに焼かれた體が、産まれたての嬰児(みどりご)の其れへと変わり、私はまた生まれ直す。 ...2017.08.22 06:30photo小説
『微睡み』 手を伸ばしても遠い。 もどかしい距離にあなたはいる。 触れたら消えそうで、遠ざかると近づいて、近づくとこの手をすり抜けてゆく。 色の無い空に浮かぶ、輪郭のない太陽みたいに、ゆらゆらと揺らめく幻のよう。 蜃気楼のような、あなたの面影を霞む瞳の奥に見る。 ゆつゆつと固まらない、生温いゼリーのような波に抱きしめられて、攫われてゆくような不確かな記憶に沈んで行く。 私は、現在(いま)にいるの? あなたと過ごした、遠い過去(きのう)にいるの? 抱きしめないで、もう。 私に構わないで.....。 今は、独りで眠りたい。 愛の切なさを知らない国で、あなたを忘れて、眠りたい。photo/文:麻美 雪2017.08.21 05:30photo story gallery
Le Matin:『Le Matin‐ル・マタン‐vol.2』④ 『I’m mister donut!』から歌へと移り、そして、最期の短編芝居『Aurora~1year after』。 何処かの店だろうか、スマートフォンの向こうの恋人らしき女性と口論をし、二度と電話も会うこともしないと言って電話を切り、席に座り煙草を男(中川朝子さん)に、この場所は禁煙だと声をかける男(朝霞ルイさん)。 一瞬目を合わせた、煙草の男が相手に、一年前にある女性の葬儀で顔を合わせた男ではないかと問いかけ、頷く男と話す内、いつしか話題は亡くなった女性の話になる。 2人の男の語る女性は、まるで別人のように、男たちの記憶に残る。 かつて、女性と付き合っていたと言う煙草の男は、すぐに怒ったり、わがままを言って自分を振り回した女...2017.08.14 03:00観劇記
Le Matin:『Le Matin‐ル・マタン‐vol.2』③ 休憩を挟んで、第2部の始まりは、4本の短編芝居の中で、唯一の再演『Le Matin‐ル・マタン‐vol.1』で上演した、 観た人はわかるあの『○スター・ドーナッツ』を舞台にした伝説のドーナッツ・ショップ店員アサカさんが登場する、コミカルな短編『I’m mister donut!』。2017.08.13 06:15観劇記
Le Matin:『Le Matin‐ル・マタン‐vol.2』② 『サンライズ・サンライズon Beach』のコミカルな短編芝居から一転、薄暗く落とした照明に浮かび上がるように表れたのは、白い台と台を前に佇む男(中川朝子さん)、此処はどうやらBARのようなも見える店らしい場所。 店の扉を静かに開け、薄闇に滲むように現れたのは、首元を隠すレースのアスコットタイふうのスカーフまで、全身黒ずくめのもう独りの男(朝霞ルイさん)。 交わされる会話から、2人は以前からよく知っている間柄のようだ。客と店主というには些か親密なそれでいて、互いの名前を知らない関係。 店を訪れた男は、店主から買い付ける何かがないと、どうやらその命を、その体を長らえるのは難しい体質らしい。 夏でも首筋を隠し、その何かがないと生き長ら...2017.08.12 07:03観劇記
Le Matin:『Le Matin‐ル・マタン‐vol.2』① 1年半ぶりの東中野のバニラスタジオ。 劇団おぼんろファン、末原拓馬さんファンにはお馴染みのバニラスタジオ。 あれから1年半、昨日は、芸術集団れんこんきすたの主宰中川朝子さんと幻想芸術集団 Les Miroirs主宰の朝霞ルイさんのおふたりのユニット、Le Matinの第2回目のイベント『Le Matin‐ル・マタン‐vol.2』を観に行って参りました。 『Matin』はフランス語で『朝』。 中川朝子(ともこ)さんの『朝』と朝霞ルイさんの『朝』で、『Le Matin』。 Le Matinのイベントは、去年の11月に初めて上演されたのですが、仕事や予定が重なって、観に行けなくてとても残念だったので、今回観られて本当に嬉しかった。 中川...2017.08.11 07:05観劇記
あの夏に散った命は 72年前の8月9日。 沢山の大切な命が散った、あの日もこんなに暑かったのだろうか。 72年前の今日、長崎に原爆が投下された日。 老人も若者も子供も大人も、男の人も女の人も、いや、まだこの世に生まれくる前の母の胎内に宿った命を一瞬にしてうばったあの夏の日。 子供の頃から、目を背けたくなる程の酷い現実だけれど、夏になり、広島、長崎の原爆投下、終戦の日が近づく度に、テレビで放送される原爆の事実や戦争の記録を母は、私たちに見せるようにしていたし、何故戦争がいけないのか、戦争を二度と起こさない為にも、きちんと描かれた映画や小説やドラマ、ドキュメントも、年齢に合わせて段階を踏んででも見て、読んで、聞いて触れた方がいいという考えだったから、子供...2017.08.09 05:06エッセイ