ortensia:第二回公演『椿と女囚、月の夜』 寒さの中にも仄かな春の暖かさを感じた土曜日の夜、千歳烏山のアクト青山に、飯田南織さんと小西優司さんの二人から成る、ortensia第二回公演『椿と女囚、月の夜』へと急ぐ。 生温い気怠げな声で歌われるジャズが一瞬高鳴ると同時に、光が引き絞られてゆくようにゆっくりと静かに暗闇へと移ろい、やがて全ては夜の闇のような黒に塗り込められる。 塗り込められた夜の中に、誰かが入って来たような気配がする。母猫のお乳を求める子猫のような赤ん坊の泣き声と外を吹き荒ぶ雪風の音。 ランプの灯が灯るように次第に仄暗い明るさが差し込み、ぼんやりと浮かんだのは、左手に置かれた書き物机に向かい、原稿用紙に向かう1人の男(小西優司さん)。ここはどうやら男の書斎のよう...2018.02.26 06:15観劇記
PhotoStoryGallery:『Lunatic~月夜の森~』 月明かりに誘われて、迷い込む夜の帳。 手繰り寄せる痛み。 危ない森に溶けてくように、誘(いざ)われる月夜。 狂ったのは誰。狂わせたのはあなた? 堕ちて行く心。 紅く染まる哀しみ。掌の切なさ。 膚を喰む孤独。 Lunatic。月の鏡に映る蒼ざめた横顔。 私の胸の底深く、眠らせた罪はただひとつ。 あなたを愛し過ぎたこと。 月明かりに誘われて、迷い込む夜の森。 手繰り寄せた痛みに身を巻かれ、蹲る夜の隅。 蒼い孤独が身を焼いて、悲しみだけが残る掌を、月に翳して涙が夜に散る。 photo/文:麻美 雪2018.02.22 18:02photo story gallery
ピープルシアターM2公演2018:『言葉と音のセッション』 2018.2.11(日)、連日の寒さが和らいで暖かな夕暮れ、四谷三丁目の駅を降り、綜合藝術茶房 喫茶店茶会記へ芸術集団れんこんきすた主宰の中川朝子さんが出演するピープルシアターM2公演2018:『言葉と音のセッション』を観に足を運んだ。 四谷三丁目から歩いて3分程の距離で途中までは、順調に会場へ向かっていたのが、『案内板が小さいのでうっかり見過ごすことがあるので注意』と事前に調べた時行き方のひとつに書いてあったので、もしや行き過ぎたかなと戻りかけ、通りがかりのおじさんが『何処に行かれたいのですか?』と聞いて下さったその時、中川朝子さんが、通りがかりお話しながら会場へと向かうという、映画かドラマのような偶然を体験するという楽しいおま...2018.02.16 06:32観劇記
劇団TremendousCircus:『サロメ』 2018.2.10㈯PM14:00 阿佐ヶ谷シアターシャイン。 受付を済ませ、上がる階段に紅い薔薇の花びらのように切られた紙が、血の跡のように劇場の中まで続くのを辿るように、客席へと進む。 座った正面に、夜の闇のように黒い床の真ん中に真紅の布が敷かれたその先に、鮮やかな色彩の美しい花に囲まれた玉座がある。 玉座へと続く真紅の布は、これから起こる血の洗礼が流した血なのだろうか。 花に囲まれた玉座の上で、滲むように坐す人の気配。 この日この回だけのイベント、目をレースの布で覆った1人の盲目の女性が現れるや、美しく劇場を震わせるような歌声で今から始まる物語に因んだオペラの歌曲とCATSの『メモリー』を朗々と歌い上げる。 その人の名は、椿...2018.02.15 06:59
Le Matin:『Le Matin‐ル・マタン‐vol.3』④ 中川朝子さんのダンスソロの後、第2部の質問コーナーになり、いくつかあった質問の中で印象に残っているのは、『1番苦手なものは?』というような質問があり、ルイさんは、『血』見るのも触れるのも血の気が引くほどダメなのだそう。 朝子さんは、『突起』。牛タンの付け根の突起とか、海岸のテトラポットや岩場にびっしり付いているフジツボみたいなのがダメなのだそう。 朝子さんの突起が背筋がゾクリとする程嫌いというのは、解る気がします。勿論、血が苦手というルイさんの気持ちも。 私の苦手、怖い物は、蜘蛛と細かい粒が密集しているもの。蕁麻疹とか、数の子とか、岩場にびっしり張り付いているフジツボとか、兎に角、細かい粒粒が密集しているのを見ると、文字通り鳥肌が...2018.02.09 06:54観劇記
Le Matin:『Le Matin‐ル・マタン‐vol.3』③ 『Dawn Blood ~Mirage in Red ~』からルイさんの歌と朝子さんのダンスになって終わった所で第1部が終わり、15分の休憩を挟み、第2部が始まった。 第2部は、こちらもお馴染みのミ○ター・ドーナッツの伝説のナルシスト店員アサカさんが、またまた暴走するコミカルな短編芝居。 『Le Matin‐ル・マタン‐vol.2』で、アサカさんの指導係をしていた、ドーナッツ・ショップ店長ナカガワさんが、久しぶりの休日、東中野を歩いていて、見つけたミ○ター・ドーナッツ東中野店に、休みなのについつい、他の店舗の雰囲気が気になって入ったら、そこにはなんとあの伝説のナルシスト店員アサカさんが働いていて....。『Le Matin‐ル・...2018.02.08 06:11観劇記
Le Matin:『Le Matin‐ル・マタン‐vol.3』② 『赤鬼と青鬼のタンゴ』の後は、質問コーナー。 今回は、事前に小さな紙が配られていて、そこに質問を書いて、プラスチックの瓶に入れたものを、カシャカシャ振って、中川朝子さんと朝霞ルイさんが交互に引いて、質問に答えて行くというコーナーが、合間に第1部、第2部各1回ずつ挟まれるという趣向あり。 質問コーナー以外にも、どちらかがソロの衣装に着替える間に、質問を引いて答える場面もあり。 第1部の質問コーナーでは、私の『貰って1番テンションの上がる差し入れは?』の質問が、引き当てられ、ルイさんは、手書きのお手紙。 朝子さんは、1.お花2.クッキー3.お煎餅、おかき。 いつも、お二人の舞台を観に行く時にはハンドメイドのアクセサリーに、手紙を添える...2018.02.07 06:53観劇記
Le Matin:『Le Matin‐ル・マタン‐vol.3』① 節分が終わり、立春で麗らかに寒さが少しだけ緩んだ日曜日、東中野のVanilla Studioに、Le Matinの『Le Matin‐ル・マタン‐vol.3』を観に行って来ました。 Le Matinは、幻想芸術集団 Les Miroirs主宰の朝霞ルイさんと芸術集団れんこんきすた主宰の中川朝子さんが組んだユニット。 Le Matinはフランス語で、『朝』という意味。朝霞ルイさんの『朝』と中川朝子さんの『朝』で、Le Matin。 そして、Le Matinを観に行くともれなく頂けるのが、ル・マンド。Le Matinだけに、Le Matinと言えばル・マンドでしょうということで、Le Matin公式お菓子のようになっています。 今回も...2018.02.06 06:12観劇記
末原拓馬ひとり芝居:『カスタネット』 街には雪が残り、氷点下の気温が続き底冷えのする先週の土曜日、友達との徹夜のカラオケから美容室に行ったそのままの足で向かったのは、八幡山ワーサルシアターで上演していた末原拓馬ひとり芝居『カスタネット』。 寒空の下、受付開場までの40分を外で待っていたのが響いたのか、軆の芯まで冷え切り、思えばこの辺りから体調を崩していたらしい軆を劇場の中へと運んだ。2018.02.03 13:43観劇記