Le Matin:『Le Matin‐ル・マタン‐vol.5』第二部

 休憩を挟み始まった第二部は、ふたりで歌う『Exiter!』で華やかに始まり、4本目の短編芝居『ヨガ、心の旅』へと移る。

 前回のLe Matinから登場した、ジムで体を鍛えて朝霞モテの助(朝霞ルイさん)になると意気込むモテの助とヨガの先生ジャイプール(中川朝子さん)のコメディがパワーアップして登場。終演後、中川さんにもお話したのだが、ジャイプール先生の破壊力とインパクトがパワーアップしていて笑いっぱなし。

 そしてなんと、お昼の回で、ジャイプール先生に引っ張り出され、モテの助とジャイプール先生の間に立ち、クィーンの『We will Rock You』に合わせて両手両足でリズムを取るというのをお客さんの前に立って一緒にやるというサプライズに遭遇。緊張したけど、楽しかった。

 『ヨガ、心の旅』からお二人のDA PUMPの『U.S.A.』、中川さんのソロダンス、ルイさんの歌う『Evermore』(美女と野獣)、中川さんの甘く切なく格好良いダンスとルイさんの低く滑らかな夜のような声で歌う『THE Music of the Night』、おふたりの歌う『Rose』(野猿)へと繋がって行き、最期の短編芝居、私の好きな『Dawn Blood』へと続く。

 Le Matin公演でお馴染みでファンも多い『Dawn Blood』。前回の話から3年程の時が過ぎているらしいあのBARで話すのは、あの二人の男?らしい。

 ルイさんの男と同族らしい男が己の命を繋ぐ為、人間を次々と襲い命の素になる物を摂取し、(私はバンパイアで血を吸ったのではないかと思うのだが…。)襲われた人間は命を落とす。

 自らの命を永らえるためのその男の暴走を止める為、自分たち種族を護る為、ルイさんの男はその男を狩ろうとし、中川さんの男はそれを阻止したいと思っている。

 観ているうちに、『Dawn Blood』のエピソード0にも、前回の後の世界を描いているようにも感じ、頭の中をグルグルと巡る。ルイさんの男から見た中川さんの男は、自分の中で凍らせてしまった同情や狩ることへの躊躇や痛みを持っている男に、眩しさを伴った羨望とそんな男の純粋さを守りたいと思う程には、ルイさんの男の中にも、まだ人らしい心が残っているのを感じた。

 ルイさんの男が失ったものを、中川さんの男は持っている。だからこそ、暴走した男から同族の者を護る為にその男を狩るという辛く、汚く嫌な仕事を自分だけが請負、中川さんの男に手を汚させないようにしようと護ったのではなかったか。

 そんなルイさんの男に対して、中川さんの男のそれまで抱えていた彼に対するわだかまりが僅かずつ溶け出している事を感じさせ、次に来た時にワインでもと言った言葉の中に、ルイさんの男に対して、僅かにではあるが、仲間意識のような気持ちの芽生えを感じた。

 次回の『Dawn Blood』は、『Dawn Blood』気になるところ。

 この1本だけがシリアスな芝居だが、最後は、一気に『In the City』『希望的リフレイン』と歌で盛り上げ、最後はLe Matin恒例の会場のお客様全員でうさ耳つけて、お二人の歌う『キューティーハニー』で大盛り上がりのうちに幕を閉じた年末の『Le Matin‐ル・マタン‐vol.5』は、やはり、最高に楽しく、また、来年も観たいと思ったLe Matinだった。

文:麻美 雪

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

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