2018.12.30㈰ PM14:00、18:00 東中野 Vanilla Studio
大晦日を翌日に控えた、陽気な慌しさに包まれた昼下がり、幻想芸術集団 Les Miroirsの朝霞ルイさんと芸術集団れんこんきすたの中川朝子さんのユニット、Le Matinのすっかりお馴染みになった『Le Matin‐ル・マタン‐vol.5』を観る為、東中野のVanilla Studioへと急ぐ。
いつもの様に、最前列の真ん中の席に着くと、いつもとは違い、開演10分前にルイさんの説明を聞きながら中川さんがお手本を見せ、お客さん全員で『ラジオ体操第1』をする事から始まったLe Matin。
前回夏のLe Matinの朝の回の時に、初めて全員でやった『ラジオ体操第1』、中川さんはラジオ体操第1をやった事がないという事で、ルイさんの説明を聞きながらも、何だか違っていた中川さんのラジオ体操。今回はだいぶ『ラジオ体操第1』に近づいたものの、柔軟過ぎるほど柔らかい中川さんにかかると、反りも体回しも真似のできない反りと深さで目を見張りながら、笑い声に包まれながらのラジオ体操から始まった。
いつもは、“紫”がタイトルに付く歌のメドレーから始まるLe Matinだが、今回は中川さんとルイさんの渋い声で歌われる『夜明けのスキャット』から始まり、その後一本目の短編芝居Le Matinではお馴染みの『サンライズ・サンライズ』へと移る。
元ホストでアイドルを目指すルイさんと後輩のトモちんが繰り広げるコメディ『サンライズ・サンライズ』は、今回季節外れのサンタクロース姿でトモちんの家に現れたルイさんが、真剣に2人でアイドルを目指そうという所から始まり、思いつきで突っ走るけれど憎めないルイさんと、振り回されるのにうんざりしつつ、渋々ながらも何だかんだルイさんを放っておけず巻き込まれては、ルイさんの面倒を見てしまうトモちんとしれっとして巻き込み上機嫌なルイさんの菅田が微笑ましくも可笑しい、笑いっぱなしの楽しい芝居。
『サンライズ・サンライズ』の後は、ルイさんと中川さんによるタッキー&翼の『夢物語』から、『冬歌メドレー』へとなだれ込み、2人で『フランダースの犬』の『よあけのみち』、中川さんの『雪國』、ダンディな低音で歌い上げて、格好良いルイさんの『Let It Go』へと続き、メドレーから今回書き下ろしの短編芝居『愛と欲望のMC』へと移る。
『愛と欲望のMC』は、ベロ(中川朝子さん)とチュウ(朝霞ルイさん)という2匹のハムスターのマスコットキャラクターが、変身魔法もののアニメ番組に出演する事になり、売れるマスコットキャラクターになる為に、話の中で2匹がイケメンに変身し、戦いになりそうになったらハムスターの姿に戻り、主人公の魔法少女たちに戦って護ってもらい、自分たちを全国区の長く活躍できる売れっ子マスコットキャラクターになろうと目論む姿をコミカルに描いたコメディ。
小劇場の格好良い男役ふたりの普段聞けない、可愛い声で演じるベロとチュウは、Le Matinのこの短編芝居でしか観られない。果たして、次回のLe Matinで登場するか今回限りの特別な短編なのかは分からない。
ルイさんのチュウが語る、一世を風靡したマスコットキャラクターの末路や長く生き残る為の作戦が、さもあろうと思われる程リアルで、しかもちょっとした独特皮肉が効いているのが面白い。
その芝居の流れで、歌は劇中の台詞の「ぼくたちは戦わない」にかけた、『僕達は戦わない』へと続き、中川さんの甘く切ないソロダンスへと移り、ルイさんの『真紅に染まる夢』へと続いた後、3本目の短編芝居『Endless School Days』になる。
前回のLe Matinでも上演した『Endless School Days』は、内容は前回と同じだが、シリアスな場面から始まり、シリアスな話しかと思って息を詰めて観ていると、徐々に笑いを誘う展開へと移行して行く流れが、前回よりコントラストが鮮明でコメディになって行く流れが滑らかな故に、可笑しさが更に増していて、思いっ切り笑ったまま、『青春アミーゴ』を歌って第一部が終わった。
文:麻美 雪
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