先週の土曜日、観に行ったクリム=カルム『ロミオとジュリエット=断罪』についての観劇ブログを書くにあたり、『ロミオとジュリエット』のあらすじは書かなくてもいいかとも思ったが、あまりにも有名なこの話、ロミジュリと略されて呼ばれて、(個人的にロミジュリと略す呼び方好きではない)幾度も舞台や映画、フィギュアスケートの演目にもなっているので知っているだろうと思うが、じゃあちゃんとあらすじ教えてとなると意外と知らなかったりもする。
更に、クリム=カルムの『ロミオとジュリエット=断罪』は、大筋や要所要所はきっちりとシェークスピア原作の『ロミオとジュリエット』に則っているが、原作や舞台などでも名前だけしか出て来なかったロザラインが、芝居の最後まで登場し、話の展開に重要な役割を担う一人にもなっていたり、2人を結びつけるロレンス神父は、ロレンス神父が養子にしたヴェロニカに神父の職を継承し、ヴェロニカがロミオとジュリエットを結びつけるのに一役買ったり、ジュリエットの従兄弟ティボルトがジュリエットの兄になっていたりなど、かなり自由な発想の脚本と演出で、原作と違う所も多いので、内容の感想に入る前に、先ずはシェークスピアの『ロミオとジュリエット』と『ロミオとジュリエット=断罪』のあらずじについて、書くことにする。
先ずは、原作シェークスピアの『ロミオとジュリエット』のあらすじから。
一般的に切り取られ流布されている多くは、敵対する家同士の息子ロミオと娘ジュリエットが舞踏会で出逢い一瞬にして永遠の恋に落ち、両家を説得しようとロレンス神父に知恵を借り一計を案じるが、その一計をロミオが知らなかったため、ロミオは深い眠りに落ちたジュリエットが死んだと思い毒薬を煽り自害し、目覚めてその事を知ったジュリエットもロミオの短剣で胸を突きロミオの後を追い、二人を亡くして初めて親達は自らの愚かさに気づき和解する、幼いながらも純粋なふたりの悲恋の物語として知られているだろう。
確かに、『ロミオとジュリエット』は、若気の至りここに極まれりのはなしではある、けれど若いふたりの純愛悲恋物語と簡単にくくれないのがシェークスピアの『ロミオとジュリエット』。
因みに、『ロミオとジュリエット』には、元の話がある。『ロミオとジュリエット』のような内容のギリシア神話の『ピュラモスとティスベ。』がモチーフとなっている。
さて、シェークスピアの『ロミオとジュリエット』。
熾烈な争いが続く皇帝派と教皇派。その図が皇帝派のモンタギュー家と教皇派のキャピュレット家の上にも現れ、血で血を洗う抗争を繰り返すことに巻込まれていた。
モンタギュー家の一人息子ロミオは、ロザラインへの片想いに苦しみ、気晴らしにと、友人達とキャピュレット家のパーティに忍び込み、キャピュレット家の一人娘ジュリエットに出会い、一瞬にして二人は恋に落ちる。
二人は修道僧ロレンスの元で秘かに結婚し、ロレンスは二人の結婚が、両家の争いに終止符を打つきっかけになることを期待するも、その直後、ロミオは友人とともに街頭での争いに巻き込まれ、親友・マキューシオを殺されたことに逆上し、キャピュレット夫人の甥、ジュリエットの従兄弟ティボルトを殺してしまい、ヴェローナの大公エスカラスは、ロミオを追放の罪に処する。
キャピュレットは悲しみにくれるジュリエットに、大公の親戚のパリスと結婚する事を命じ、ロミオ意外とは添いたくないとジュリエットに助けを求められたロレンスは、彼女をロミオに添わせるべく、仮死の毒を使った計略を立てるが、この計画は追放されていたロミオにうまく伝わらなかった為に、ジュリエットが死んだと思ったロミオは、彼女の墓で毒薬を飲んで自害。
その直後に仮死状態から目覚めたジュリエットも、冷たく横たわるロミオを見て、ロミオの短剣で後追い自殺をする。事の真相を知って悲嘆に暮れる両家は、ふたりの死によって自分たちの過ちに気づき、ついに和解する。
この時、ロミオ16歳、ジュリエットは、14歳間近の僅か13歳。
二人が出逢い、共に命果てるまでは、たったの5日間という、短過ぎる時間の中で花開き、散っていった若気の至りとしても儚くも悲しい幼い二人の恋の物語。
これが、シェークスピアの『ロミオとジュリエット』のあらすじ。
これを踏まえて、クリム=カルム『ロミオとジュリエット=断罪』のあらすじへと続く。
文:麻美 雪
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