演劇ごはん:『彼女がお店を去る時に~第3話~』主菜とデザート。

 さて、いよいよこの演劇ごはん『彼女がお店を去る時に』の観劇ブログも今日が最後。
 第3話は、お料理でいうと主菜とデザート。

 第1話の何度も時間を巻き戻し、シーンをループさせたものの、告白まで行き着けないまま終わった森野と里美のその後の話。
 第3話は、漫画や落語でいうとオチの要素もあるので、第2話までのようにあらすじを細かく書かない方が良いかなと思うので、あらすじは短くサラッと。

 何故なら、『彼女がお店を去る時に』は、28日まで上演しているので、オチを言わない方が良いかなと。

 あれから少し時間が経ち、再度、森野が里美に告白と菜摘の働くいつもの店に、里美を食事に誘い、告白しようとした時、第1話の時のように真嶋が入って来て、何やら里美との間に漂うものがありつつも、森野は里美に告白するが」‥‥。
 
 更に最後に菜摘からの発表があり‥‥。
 という話。

 1話から観てきて、最後に、ああ、この話のこれは、ここに繋がる伏線だったのだなと、最後まで見るとストンと腑に落ちる。
 1話の時から、森野は「なぜ、振られたら気絶するのに告白しようとするのか」と聞かれ、「言わずに後悔するよりたとえ告白してダメだったとしても言ってダメだったら納得し、スッキリするから。」と言うような事を言っていて、気弱で緊張しやすい森野の中に、今の草食系男子と言われる男の人のような、傷つくことを恐れて恋愛さえもしたくない、興味が無い、告白しないという弱さはない。

 気絶するとは言え、自分の思いをラインでもメールでもなく、ちゃんと本人を目の前にして、顔を見て告白して、ダメだったとしても気絶しないように頑張って受け入れようと、告白する勇気と打たれ強さに、森野の中にある本人も気づかない強さと優しさを感じた。

 それぞれが抱える、それぞれの思いとモノ。
 不器用だけれど、それぞれがそれぞれの方法で、自分のゆく道を決め、それに向かって新しく何かを始める1歩を踏み出そうとする姿に清々しさを、それを見守り、見送る人の眼差しの温かさを感じる芝居だった。

 第3話にで出来たのはこちらのお料理。
野菜カレエ 焼きれんこんトッピング 

 レンコンのカレーは、野菜の甘みがたっぷりで、スパイシーで美味しい。

 ルーに溶けた野菜の甘みと旨みが、土の力と滋味を感じる蓮根と相まって野菜だけなのにコクがあった。
れんこんのveganガトーショコラ

 蓮根のカレーとレンコンと豆腐のガトーショコラ。

 蓮根とお豆腐のガトーショコラは、ふわっと濃厚で口の中でふんわり溶けて、蓮根のシャキッとした食感がとっても楽しくて美味しい。

 お腹も心も大満足のごはんと演劇のコラボ。

 また、観たい!

 そう思った。

 演劇ごはんを観て感じたのは、野菜全般に言えることだけれど、本当に美味しい野菜は何も調理しなくても、味をつけなくてもそのままで美味しい。

 今日のレンコンは、蒸しただけで、充分レンコンの甘みが感じられて、塩だけでシンプルに食べるとなお美味しい。このレンコン家でも食べたいと思ったほど、野菜の力と滋味を感じた。

 演劇ごはんのお料理に使っていた蓮根本当に、土の力、野菜の力と滋味が身体中にしまわたった。

 お料理と同じで、お芝居も遊びはあるけど、余分なものはなくて、シンプルだからこそ、役者さん達がとても素敵で良かった。

 普段の日、ふっと入ったお店で遭遇したありそうで、ない、日常にふっと時折紛れ込む非日常みたいな3編の短い芝居。面白くて楽しい。

 美味しいごはんとお芝居と、心もお腹もほこほこと温かくくちくなって、楽しくまた観たくなる舞台だった。

 28日迄、南青山野菜基地でやっているので、是非、観て、味わって、感じて、参加して欲しい。

文:麻美 雪


 

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

0コメント

  • 1000 / 1000