PhotoStoryGallery:『-4℃の朝』

 東京の気温が、-4℃になった朝。

 いつものように、出勤するために家を出て歩き出す。

 ふと、あなたも同じ空を遠く離れた北の地で、見ているだろうかと立ち止まり、空を見上げた。

 あなたの居る北の地は、きっともっと寒い筈。

 あなたが隣に居たならば、あなたの隣に居たならば、寒いねと言って、手を繋いで温め合うことも出来るのにとひとりごつ。

 白く氷った息が夜明け前の空に、ふわりと昇ってゆく。

 あなたの名前を、そっと唇に乗せてみる。

 胸の内が、ほっこりと温かくなる。

 距離がふたりを隔てても、まだ、大丈夫。

 あなたを思う度、あなたの名前を呼ぶ度に、心にぽっと火が灯るから。

 離れていても、あなたとの明日を疑わずにいられる今があれば。

 「行ってきます」

 北の地にいるあなたに言って、パンプスの音を響かせて、今日もまた、仕事へ向う。

 あなたとの明日の為に。


photo/文:麻美 雪

 

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

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