東京の気温が、-4℃になった朝。
いつものように、出勤するために家を出て歩き出す。
ふと、あなたも同じ空を遠く離れた北の地で、見ているだろうかと立ち止まり、空を見上げた。
あなたの居る北の地は、きっともっと寒い筈。
あなたが隣に居たならば、あなたの隣に居たならば、寒いねと言って、手を繋いで温め合うことも出来るのにとひとりごつ。
白く氷った息が夜明け前の空に、ふわりと昇ってゆく。
あなたの名前を、そっと唇に乗せてみる。
胸の内が、ほっこりと温かくなる。
距離がふたりを隔てても、まだ、大丈夫。
あなたを思う度、あなたの名前を呼ぶ度に、心にぽっと火が灯るから。
離れていても、あなたとの明日を疑わずにいられる今があれば。
「行ってきます」
北の地にいるあなたに言って、パンプスの音を響かせて、今日もまた、仕事へ向う。
あなたとの明日の為に。
photo/文:麻美 雪
0コメント