詩:『風のまぼろし』

 風が忘れた

 遠いまぼろし

 さらさらと

 海の砂を

 流すように

 心の中を

 吹き過ぎてゆく

 忘れたいのでも

 忘れたのでもなく

 ただ成すがままに

 あるがままに

 身を任せたら

 儚く消えた

 それだけのこと

 幾年月の

 時間をかけて

 濾過された

 透明な時間の

 まぼろしが

 風に散った

 だけのこと


詩:麻美 雪

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

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