緋く染まって、焼け落ちて行く太陽。
瞳の中で滲んで揺れる。
心燃やした、あの夏が終わってゆく刹那にも似た、居たたまれない程の切なさに泣く胸。
指先を凍らす冬の夕暮れ。
その緋さに佇み、暮れ泥む。
逢いたいと思うほど、離れて行く心を持て余す。
きっと、ふたり、同じ時にきづいていた。
心焦がす、熱病のような時の終わりに。
責めるではなく、哀しいのでもなく、ただ、住み馴れた部屋を出て行くような、肌に馴染んだ毛布に別れを告げるような、少女から大人になる時のような、歯痒いひと欠片の寂しさと切なさに震えただけ。
緋い夕陽が、胸につかえた何かを溶かす。
もう、いいね。
心に兆す思い。
赦されているような夕焼けに、一雫の涙を落とし、私の場所へ帰って行く。
あなたの居ない、私の部屋へ。
photo/文:麻美 雪
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