『滲む太陽』

 緋く染まって、焼け落ちて行く太陽。

 瞳の中で滲んで揺れる。

 心燃やした、あの夏が終わってゆく刹那にも似た、居たたまれない程の切なさに泣く胸。

 指先を凍らす冬の夕暮れ。

 その緋さに佇み、暮れ泥む。

 逢いたいと思うほど、離れて行く心を持て余す。

 きっと、ふたり、同じ時にきづいていた。

 心焦がす、熱病のような時の終わりに。

 責めるではなく、哀しいのでもなく、ただ、住み馴れた部屋を出て行くような、肌に馴染んだ毛布に別れを告げるような、少女から大人になる時のような、歯痒いひと欠片の寂しさと切なさに震えただけ。

 緋い夕陽が、胸につかえた何かを溶かす。

 もう、いいね。

 心に兆す思い。

 赦されているような夕焼けに、一雫の涙を落とし、私の場所へ帰って行く。

 あなたの居ない、私の部屋へ。


photo/文:麻美 雪

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

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