Photo Story Gallery:『遊女』

 焼けるように熱い紅。

 水の中を逃げ惑い、逃れようとするけれど、厚い硝子に阻まれて、逃れる術さえ今は無く。

 冷たい水に、焼かれるように、思い焦がれた行く末は、ただ割かれるだけの定めなら、なまじ恋など知らぬが幸せ。

 己が身に、愛想尽かしヲ言ってはみても、胸軋ませる切なさが、胸を裂く。

 緋い襦袢をひらひらと、尾鰭のようにひらめかせ、意の染まぬ男に、身を委ね、心の中は血の泪を流して隠す、彼の人への真心を。

 今宵も白い化粧の下に、隠して忍ぶ、紅い檻に囚われし、金魚のように艶やかな緋いべべ着た、私は遊女。

photo/文:麻美 雪

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

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