さらさらと黄金色の銀杏の葉が舞い散る土曜日のお昼、御徒町のワロスロード・カフェに蓮根わたるさん、中川えりかさんが出演されている『月とカーニバルのおはなし』を観に行って来ました。
駅から5分程歩き、狭く急な階段を上がったビルの3階。扉を開けると真っ赤なカーテンと壁、ジャズの流れる小さなBAR、そこがワロスロード・カフェ。
飲み物を飲みながら、開演を待つ。程よく心地好いざわめきに身を任せていると、誰いうともなくざわめきが徐々に空気に溶けて消えたその時、ゆるゆると『月とカーニバルのおはなし』の物語の扉が開いた。
此処はどこかの街の片隅にある、とあるBAR。
カウンターの中には、酒番(蓮根わたるさん)がひとり、そこへ自分の家に帰った来たように、「ただいま」と言って入って来る少年(中川えりかさん)。
シンタクロース祭の夜、グラスに注いだお酒、グラスの中で溶ける氷、氷がプリズムのようにチカチカと瞬く、まるで、クリスマスツリーに飾られた色とりどりの電飾のように。
夜の中、殊にシンタクロース祭の夜は、思い出が語り始めるという。忘れてしまった思い出や大切な思い出、語り出すのは思い出だけでなくて、押し入れの奥に仕舞い込んで忘れてしまったものや、おもちゃ、大切な人や、大切な人との記憶が、ざわめき出し、語り出すという。
少年にねだられる儘、自らが思い出す儘、酒番は、一組の幼馴染の少年と少女の話を語り出し......。
ふわりふわりと、弾けたシャンパンの泡が空まで漂って、星になって空でチカチカ瞬いているようなお話の欠片を集めて、あらすじのようなものを書くとしたら、こんな感じだろうか。
二胡奏者であり、素晴らしい声を持った歌い手で、アカラというユニットで活躍されている中川 えりかさんと女優の中川 えりかさんのユニットなかがわ×なかがわ。
同姓同名でしかも、字まで一緒の朗読×音楽なかがわ×なかがわの公演は、今回で4回目だという。
2年前、私の長い付き合いのブログ友だちのさらみさんこと今西哲也さん主演の舞台、『積む教室』で共演されていたのがきっかけで、知り合った蓮根わたるさんとアカラの中川えりかさん。
同じ年の6月、アカラのライブ『空(から)の音触』で、蓮根わたるさんが、音の案内人ということでMCとして出演されたのを聴きに行き、中川えりかさんと初めてお会いし、そこからえりかさんとのお付き合いが始まり、昨年の私の初ライブ出演の初朗読の際には、出演者として参加されていたえりかさんが、即興で二胡の演奏をつけて下さったりとお世話にもなっていて、アーティストとしても一人の人としても大好きな中川えりかさんのなかがわ×なかがわの公演、以前からお誘いを受けていながら、予定と重なり観られずにいたのが、やっと今回観られたなかがわ×なかがわ。
今回は、蓮根わたるさんから、久しぶりに舞台に出演する事になり、しかもなかがわ×なかがわのなので、「ご都合よろしければ、ぜひに」とお誘いを受けて、観たなかがわ×なかがわ『月とカーニバルのおはなし』。
いろんな縁が重なって、観ている不思議。
縁とは不思議で、ありがたい。
観終わった後に浮かんだ想いは、『観られて良かった!』というとてもシンプルな一言。
けれど、胸に去来し、心に沁み、浮かんだ感情、イメージ、言葉、思いは、色んな色彩や思い出が交差し、交錯し、混ざり合って、シンプルとは程遠い。
なので、そんな、『月とカーニバルのおはなし』を観て、浮かんだイメージや言葉、想い、感じた事を、今回は敢えて、浮かんだまま、感じたまま、思ったままをポンポンと、星のように置いて書いてゆこうと思います。
今回もまた、1回では書き切れないので、何回かに分けて、書いて行きます。
文:麻美 雪
→②に続く。
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