詩:『神様ひとつだけ』

『神様ひとつだけ』


 もしも

 神様がひとつだけ

 願いを叶えてくれるなら

 もう一度だけ

 あなたに会って

 『愛している』

 と

 伝えたい

 あの日

 言えない儘

 見送ることも

 出来ない儘で

 開くことのない

 目を

 やさしく閉じた

 あなたにさえ

 私の中の

 あなたを

 死なせたくなくて

 触れることさえ

 せぬ儘に

 人目を憚り

 唇を開くことさえ

 出来ぬ儘

 灰になる

 あなたを乗せた

 車の影を

 熱に冒された

 軆で見送ることしか

 出来なかった

 あなたへ

 ひとこと

 伝えたい

 『愛している』

 と

 私から

詩:麻美 雪

 

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

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