季節外れの紫陽花のように、花の盛りも過ぎて久しい私の姿。
花の色は移にけりな徒(いたずら)に、純真無垢な紫陽花は、陽を浴び、雨に潤され、仄かに花の顔(かんばせ)を、薄紅色に染めながら、いつしか蒼ざめ、薄紫に憂いを纏い、徒(あだ)に儚く色を変え、この世の春を一身に移り気、浮気、触れなば落ちんの色香があるとチヤホヤされる絶頂を集める命短し恋せよ女。
花の命は短くて、瑞々しさが奪われて、日に日に色褪せ、萎れゆく、潰えゆく最期の姿までも不思議な程に美しい、紫陽花のような女になれたら、あなたの心は私の上に残ったろうか。
詮無き問の繰り言を、秋の鏡に映してみては、今日も憂いのため息ひとつ。
photo/文:麻美 雪
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