詩:『暮れゆく空』

 『暮れゆく空』


 風に吹かれて

 暮れてゆく

 空を見ていた

 夏の昼の喧騒が

 一瞬形(なり)を潜め

 熱に疲れたような

 淋しさを滲ませた

 蝉の声

 秋を一滴

 垂らしたような

 切なさが

 空を染めてゆくのを

 寂しいような

 懐かしいような

 甘酸っぱい

 苺のような

 郷愁が胸に萌(きざ)す

 生温(なまぬく)い

 儚さの中で

 ひとり

 暮れてゆく空を

 見ていた


詩:麻美 雪

 

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

0コメント

  • 1000 / 1000