詩:『夜に抱かれ』

 『夜に抱かれ』


 天鵞絨の夜に抱(いだ)かれ

 闇に蠢く

 気配に目を凝らす

 密やかな躊躇い

 戸惑う吐息

 蹲った淋しさ

 届かない指

 息を潜める

 孤独

 夜が流した涙

 差し込む月明かり

 蒼白い傷み

 愛の朽ちてゆく時の

 甘く哀しい馨り

 天鵞絨の夜に抱か(いだ)かれ

 蒼い闇に

 愛を弔う

詩:麻美 雪

 

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

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