『虚無の朝と頽廃の夜の間』

 ゆつゆつと固まらないゼリーのような、生ぬるい記憶に纏い憑かれて、進むことも戻ることも出来ない沼に、足を取られて進めない。

 手を翳し、手を伸ばし、届きそうで届かないもどかしさは、あなたへの愛に似ている。

 どちらかが、手放すまで、三竦みのように、動けないまま、灰色の頽廃に抱き竦めるられたまま、不毛な愛が果てしなく続く。

 サティのピアノ、色を失くした空、醒めた月。

 虚無の中に漂う朝と頽廃の夜の間。


photo/文:麻美 雪

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

0コメント

  • 1000 / 1000