咲いて咲かせて、毒の華。
あなたの心に焼き付いて、記憶からも消えない程に、残ればいい。
あなたが見たい私の姿、その儘に。
あなたが求めた、触れたら壊れ、堕ちてゆく、妖しい毒を孕んだ女の残像を。
何処にでもいる、目立たない、庭の隅でそっと蹲って咲いている私ではない、毒の華。
咲いて咲かせて、毒の華。
あなたの心に染み付いて、消えないならば、本当の私の花なんて、手折ってしまえと思ったけれど。
淋しい時に、そっと寄り添い抱きしめた、やさしい花が愛しくて、私は毒の華になり切れない。
咲いて咲かせて、毒の華。
私は、庭の片隅で、あなたに気づかれることも無く、ひっそりかんと、悲しい時に寄り添って、心に咲いたやさしい花に看取られて、土に還ります。
咲いて咲かせて、毒の華。
あなたの最期を看取るのは、何処に咲く毒の華。
photo/文:麻美 雪
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