詩:『遺伝子の記憶』

『遺伝子の記憶』


 淘汰されない

 悲しみと

 紅黒い

 靄のような

 嫉妬が

 血液の中に

 拡がって行く

 海馬を騙して

 忘れた振りをしても

 遺伝子が憶えてる

 淘汰されない

 悲しみが

 誰かを

 求める度に

 遺伝子を呼び覚まし

 同じ傷みを

 繰り返す

 淘汰されない

 悲しみが

 目の前の

 あなたの愛を

 拒絶する

 求めればまた

 あなたも

 私に

 同じ傷みを

 残すと

 遺伝子の宿命に

 搦め取られて

 蒼黒い怯えが

 細胞に浸潤して

 愛の萌芽を

 殺してゆく


詩:麻美 雪

 

 

 

 

 

 

麻美 雪♥言ノ葉の庭

昼は派遣社員として仕事をしながら、麻美 雪としてフリーのライター、作家をしています。麻美 雪の詩、photo short story、本や音楽、舞台など好きなものについて、言葉や作品を綴っております。

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